Outlook の Exchange キャッシュモード

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Microsoft Outlook 2003 以降のバージョンでは、Exchange サーバーに接続して利用するメール アカウントについて「Exchange キャッシュモード」が利用可能です。Office 365 (Exchange Online) を利用する場合、メール クライアントとして Outlook 2010 または Outlook 2013 を利用することが多いと思いますので、これらのバージョンでの「Exchange キャッシュモード」の動作とそのメリットについて解説します。

Exchange キャッシュ モードとは

Exchange サーバーでは通常メール メッセージはサーバー上のメール ボックスに保存されますが、Exchange キャッシュ モードを有効にすると Outlook を実行しているコンピューター上にメール ボックスのデータがダウンロードされ、キャッシュが作成されます。そして Outlook はそのキャッシュを利用してメッセージの表示や検索を行うようになります。

そのためコンピューターがネットワークに接続されていないオフライン状態の時でも、過去に受信したメッセージの表示や検索ができるようになります。

031915_0834_OutlookExch1.jpg(https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj683103.aspx から引用)

メール ボックスのキャッシュは単なるサーバー上のメール ボックスのコピーではありません。ネットワークを利用して Exchange サーバーに接続できると、Outlook はローカル (コンピューター上) のキャッシュとサーバー上のメール ボックスを常に同期します。つまりサーバー上のメール ボックスに新しいメッセージが配信されると、すぐにローカルのキャッシュにもメッセージがダウンロードされ、Outlook で閲覧できるようになります。また Outlook でメッセージの未読/開封済み状態の変更、フラグの設定、分類、削除などの操作をキャッシュに対して行うと、その変更はサーバーにも反映され、OWA や他のクライアントからサーバー上のメール ボックスを参照した際にも反映されます。またキャッシュモードではオフライン アドレス帳 (OAB) もダウンロードされ、サーバーと同期されます。

 (https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc179175.aspx から引用)

既定ではメール ボックスのキャッシュは拡張子 “.ost ” で %Userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Outlook フォルダー内に、オフラインアドレス帳は拡張子 “*.oab ” で %Userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Outlook\Offline Address Books フォルダー内に作成されます。

Outlook 2010 までのバージョンでは自動的に Exchange サーバー上のメール ボックスにあるすべてのメッセージが同期の対象となりますが、Outlook 2013 では同期する期間をすべて、24 か月、12 か月、6 か月、3 か月、1 か月から選択できます

キャッシュ モードを利用するメリット

キャッシュ モードを利用すると、Outlook を利用するユーザーには次のようなメリットがあります。

  • オフラインでもメッセージが表示/検索できる
    ネットワーク接続がなく Exchange サーバーに接続できない場合でも、受信済みメッセージの表示や検索ができる
    外出先や作業環境によってネットワーク接続が利用できない場合でも、キャッシュされたメッセージを利用できます
  • オフラインでもメッセージを操作できる
    ネットワーク接続がなく Exchange サーバーに接続できない場合でも、Outlook でメッセージの未読/開封済み状態の変更、フラグの設定、分類、削除などの操作ができます。これらの変更は後で Exchange サーバーに接続できるようになった時に、自動的に同期されます
  • パフォーマンスの向上
    オンラインの場合でも、メッセージへのアクセスがネットワーク経由ではなくローカル ディスクに対して行われるので、応答速度や表示速度などのパフォーマンスが向上する

また Exchange サーバー (Exchange Online)の管理者にとっても次のようなメリットがあります。これらは特に多数のユーザーが利用するサーバーでは大きなメリットです

  • サーバーの負荷が軽減される
    メッセージがローカルにキャッシュされれば、同じメッセージを再度開くのにサーバーへのアクセスは不要です。
  • ネットワークの負荷が軽減される
    一度キャッシュされたメッセージへのアクセスではサーバーへの接続が不要になるため、通信量が削減されます。

Outlook 2010 までの場合、キャッシュ モードを有効にするとサーバー上のメールボックス内のすべてのメッセージがダウンロードされるため、ローカル ディスクの空き容量が圧迫される場合があるのと、キャッシュ モードを有効に構成したらすぐにすべてのメッセージのダウンロードが開始されるためネットワーク帯域が圧迫される場合があり、利用を躊躇することもあったと思います。

Outlook 2013 では前述のようにメッセージを同期する期間を選択でき、ローカル ディスクに余裕がない場合でもキャッシュ モードが利用しやすくなっています。また Exchange ファスト アクセスと呼ばれる機能も追加されており、この機能によって同期の開始時には最新のメッセージと最新の予定表のみすぐにダウンロードされ、残りのアイテムはバックグラウンドで Outlook の使用感を損ねることなくダウンロードされます。こうした機能により、Outlook 2013 ではキャッシュ モードがより利用しやすくなっています。

 キャッシュモードを構成する

Exchange キャッシュモードの構成は、Outlook でアカウントを作成する際、または既存のアカウントを編集する際に行えます。以下に具体的な手順を解説します。

新規で Outlook 2010 / 2013に Exchange アカウントを構成すると、そのアカウントは既定で Exchange キャッシュ モードを利用するように設定されます。Outlook 2013 ではこの時に同期する期間 (オフラインにしておくメールの数) を構成できます。

Outlook 2013 では、新しいアカウントを作成した場合のキャッシュ モードは既定で有効ですが、Outlook 2010 までと異なり同期期間は 12 か月が既定値になっています。そのため設定を変更しないと、1年以上前のメッセージはダウンロードされず、その表示や検索には Exchange サーバーへの接続が必要になります。古いバージョンの Outlook から移行して新しいアカウントを作成する場合、この点に注意してください。

アカウントを Exchange キャッシュモードを使用しないように構成したり、同期期間を構成したりするには、アカウントを追加する際 [自分で電子メールやその他のサービスを使うための設定をする (手動設定)] を選択してください。[サービスの選択][Microsoft Exchange Server または互換性のあるサービス] を選択すると、次の画面でオフライン設定が行えます。下の図は Outlook 2013 の場合で、スライダーで同期期間を構成できます。

アカウントの追加ダイアログ

既存のアカウントの設定を変更する場合は、[ファイル] タブから [アカウント設定][アカウント設定] と選択し、[アカウント設定] ダイアログ ボックスで変更したいアカウントを選択して [変更] をクリックします。

上の [アカウントの追加] と同様のダイアログ ボックスが表示されますので、キャッシュ モードの利用 / 不利用や同期期間を設定してください。(こちらこちら により詳しい手順とスクリーン ショット付きの解説があります)

またユーザーのキャッシュ モードの構成や同期期間は、Office カスタマイズ ツールやグループ ポリシー (Office 管理用テンプレートを利用して管理者が設定することも可能です。

管理者のための参考情報